動植物を育成・栽培する時、理想的な環境というものが想定されている。
温度はこれくらいで、湿度はこれくらいで、酸素濃度はこれくらいだと、動植物はスクスク育つと。
しかし進化論的にはこれは間違いなのではないかと考えている。
生物にとって理想的な環境は存在しない。
今いる現実が全てだ。
理想的な環境があろうがなかろうが、今いる現実に合わせて進化・適応するのが生物だ。
どんな過酷な環境であろうとも、現在の環境に最適化され、現実を理想的な環境にしてしまう。
温暖化が進めば暖かい環境でも生きられるように進化適応し、
砂漠化が進めば砂漠でも生きていける様に進化適応する。
それができない生物は、恐竜の様に絶滅するしかない。
スポーツの世界では、高山トレーニングという物がある。
激しい運動には大量の酸素が必要不可欠だが、
あえてその酸素が少ない所でトレーニングをし続けると、
わずかな酸素でも激しい運動ができるように体が進化する。
まるで、10倍の重力がある界王星で修行すると、
地球では凄い動きが出来るドラゴンボールの世界だ。
我が家で犬を飼っていた時。家の外で飼っていたのだが、
真冬になると母ちゃんが可哀想だから冬は家の中にいれようかしらと言う。
その度毎に俺は猛反対した。
「絶対にダメ。もし暖かい家の中にいれたら、折角の冬毛が全部抜け落ちしまう。
もし入れるのであれば、冬の間はもう一切散歩には行かせず、
みんながいない時でもシロの為にずっと暖房を入れ続けるくらいの覚悟がないと死んでしまう。
もし一度家に入れてしまったら、もう冬の寒さの中で生きてはいけない」
因みに東北の真冬にも関わらず、ウチのシロは平均寿命12歳と言われる中型犬でありながら
17歳の長寿天命を全うした。
豆知識であるが、その犬が雪国で生きていけるかどうかを簡単に見分ける方法がある。
ご先祖様が雪国出身の犬の場合、雪の上を走らせても体毛に雪が一切まとわり付かない。
逆に砂漠出身の犬だと、体毛に雪がまとまりついて体が重くなるわ、全身ビチャビチャになるわで、
雪国では一瞬で死んでしまう。
雑種でありながら、シロのご先祖様は寒い地域で生き抜いてきた戦歴の持ち主だと解るので、
冬の寒さに全くと言って良いほど心配はしてなかった。
逆に夏は熱射病にならないよう、細心の注意を払い続ける事になったがね。
冬毛がごっそり抜け落ちて庭中毛だらけになるのが春の風物詩であるが、
室内犬の場合、そもそも抜ける冬毛が生えてこない。
暖かい家の中にいながらモコモコとした冬毛を生やしたら、逆に冬を生きていけなくなる。
生物は、現実の環境にあわせて最適化されていき、現実を理想の環境にしてしまう。
これらの事は、当然生物である人間にもあてはまる。
自分を変化させる時、努力すれば変われると思っている人がいるがそれは間違いだ。
努力で生物は変わらないし変われない。環境を変えなくては駄目だ。
違う環境に身をおけば、生物は全力でその環境に適応する為に変化する。
酸素が足りない環境に身をおけば、僅かな酸素でも生きられる体になるし、
体力が無かったら生きていけない環境に身を置けば、否が応でも筋肉モリモリマッチョマンになる。
昔テレビで見たロシア式の子育ては度肝を抜かれた覚えがある。
言うまでも無い事だがロシアは寒い。
そんな寒い環境で生き抜くために、ロシア人の母親が赤ん坊にしている事がこれまた凄い。
雪が降る真冬の川とか湖に赤ん坊を連れて行き、そこで何をするのかというと、
母親がいきなり水着になって、赤ん坊もろとも入水自殺の勢いで水の中に入るのだ。
足の先からゆっくり、なんて物じゃない。
いきなり水の中に頭も含めて全身潜り込み、ブクブクという泡だけが水面に写る。
赤ん坊の頃からこうやっておけば、厳しい寒さでも平気で生きていけるとの事。
全てのロシア人がやっている風習なのかは解らないが、
少なくともテレビに映っていたその母親は真冬に水着でも平気な笑顔をしていたし、
なんの躊躇いもなく入水できる程のたくしまさが現にあった。
あったか~い部屋と、あったか~い服を用意して「理想の環境」を作るのではなく、
現実の環境に無理やり飛び込んでその環境で生きていけるようにする。
だからあんな北国でもロシア人は絶滅する事なく生き続けていける訳だ。
前々回の記事で決断について書いた。
実存的には「自分はこうありたい」という方の選択をすればそれが正解だ。
その為に生き、かつ死ねるような自分の中の絶対の基準に従って生きればいい。
そして前回の記事では、その様な生き方をした時点であなたはもう成功者だとも書いた。
しかしこれだと「自分がどうありたいなんて解らないよ」という人には出来ない事でもある。
そんな物はやっているウチに自分で作り上げていくものであるが、
本当に何も解らない完全にゼロからスタートする場合。
それでも「正しい」決断をする方法は一つだけある。
それは、進化論的にはいつだってキツイ方が正解だ。
なので迷った時はキツイ方を選ぶ。これで間違える事はなくなります。
何を持って「正しい」とみなすかというと、
自分を成長させる・可能性を広げるという意味において正しい。
自分に負荷をかける環境に飛び込むことを選べば、爆発的な変化が約束されます。
外国語を学習する一番いい方法は外国に住む事で、
二番目にいいのは外国人の彼女を作るとの事。
もう、外国語が無かったら生きていけない環境に飛び込むこと。
そうすれば、机の上で一年かけても身につかない語学力を一瞬で身に付ける事になる。
仕事が出来る人の秘訣で面白いのがあった。
「キミって○○出来る?」と聞かれたら、
全然知らなくても「はい! 得意です!」と答えるのだそうだ。
それから死ぬ物狂いで猛勉強して、本当に得意にしてしまう。
おかげ仕事に困った事は一度も無いとの事。
それが無かったら生きていけない環境を、
自ら作り出せるのは生物の中でも人間だけの特権だ。
その特権をフル活用する為にも、迷ったらキツイ方を選ぶ。まず間違いなく正解だ。
努力「だけ」で成長する事も出来るだろうが、爆発的という意味においては弱すぎる。
今現在の「理想の環境」から飛び出して、別の環境に飛び込まなくては爆発はしない。
努力ってのは今現在の理想の環境を壊さないレベルでの変化しかもたらさない。
この迷ったらキツイ方を選ぶというルールは、
人生の一大決心の事のみを言うのではないですよ。
日常生活の全てにおいて当てはまる事です。
朝目覚ましがなって、起きようか二度寝しようか迷ったら起きる方を選ぶんです。
部屋の掃除をしようかしないか迷ったら、する方を選ぶんです。
勉強しようかしまいか迷ったら、勉強する方を選ぶんです。
まあ、一日中引きこもって勉強するのが日常の場合、外に遊びに行くほうがキツイ事か。
どちらがキツイ方なのかは人によって違う。
誰にも邪魔されない孤独が好きな人は、大勢の人に会うことの方がキツイ事だろうし、
いつも周囲に人がいないと寂しくてしかたない人は、孤独になる事の方がキツイ事だろう。
何をキツイと思うかは人それぞれですが、
どちらがキツイ事かどうかは他でもない自分自身が一番良く知っています。
それぞれの選択肢を見比べた時、
「うわぁ・・・・やりたくねぇ・・・・」
と思った方があなたにとってキツイ事です。そっちの方を選びましょう。
それは、今のぬるま湯の「理想の環境」から飛び出さざるを得ないキツイ事です。
勿論、急激すぎる環境の変化に進化が追いつかない場合、恐竜の様に死んでしまいます。
酸素が薄ければ薄いほど高山トレーニングの効果があるといっても、
酸素が薄すぎると鍛えるどころか体をボロボロにするだけで終わってしまう。
標高1500メートルが常人の限界らしい。標高2200メートルで走った高橋尚子は常人ではない。
いくらキツイ方がいいといっても、無理は良くない。見極められる練習を日々積みましょう。
億単位の借金をして起業するとか、
世界一厳しい軍隊に入隊して体を鍛えるとか、
確かに爆発的過ぎる程爆発的な進化をもたらすでしょうが、
体や精神を壊してしまう可能性の方が高いと思う。
自分を高橋尚子の様な超人と自惚れてはいけない。
そういう人生の一大決心というのは、いうなれば本番です。
部活などで散々言われてきた経験があるでしょうが、
練習で実力を発揮できないやつが、本番で実力を出せる訳が無い。
日々の些細な決断、朝早起きするか否かなどが練習です。
練習でどれだけ無理しても、再起不能になる程心身が壊れる事は無いでしょう。
いきなり本番に挑むのではなく、
日々の些細な練習をコツコツ積み重ねて自分の限界を見極めておきましょう。
そしてこの迷ったらキツイ方を選ぶというルールは、
練習だけでも爆発的に人生を変化させる力があります。
迷ったらキツイ方を選ぶ。
それでは、次回の記事までごきげんよう。